なぜ、セールスの「プロ」でも100人中1.15人にしか売れなかったのか?

億という金額を売るセールスコピーライターがいます。

彼はその手法も教えるプロです。

では、その教材のセールスレターの成約率はどれくらいでしょうか?

1.15%。

コピーライティングの世界ではCVR 1%で成功と言われます。

プロだけあって、このラインを超えています。

流石ですね。

ただ、こんな疑問を抱くかもしれません。

「セールスのプロでも100人中1.15人にしか売れないの?」と。

ちなみに、その教材の価格は4000円弱。

素人の感覚としては「プロで、しかもそれくらいの価格だったら100人中10人くらいに売れないの?」と思ってしまいます。

私自身、何も知らなかった頃はそう感じていました。

ですが、自分でやってみると中々売れない。

確かに1%というのは大きな数字に見えて来ます。

・安くない広告費を支払ってアクセスを集めたのに、100人に1人にも売れない
・プラットフォームで自分の商品を販売してみても何か月間も売上ゼロ
・ハウスリストなら売れるだろうと思ってもやっぱり1%も売れない

自分で副業・ビジネスを行っていらっしゃったら、これらの経験をお持ちかもしれません。

不思議に思われませんか?

「なぜ、セールスのプロでもせいぜい100人に1人にしか売れないのか?」

100枚の100円玉が入った袋に手を突っ込み、出来るだけ多く取り出そうとしたら、2,30枚は掴めそうな気がしませんか?

私は何かがおかしいと考えました。

ベネフィットは死んだ

そのプロだけでなく、有名なコピーライターやセールスパーソンたちが口を揃えて教えているのがこれ:

「ベネフィットを語れ」

実際、成約率1.15%のセールスレターでも多くのベネフィットが語られています。

・億を稼ぐことで得られる生活
・住む場所、働く時間、付き合う相手の自由
・ネットバンキングにログインすると銀行の残高が1桁増えている

などなど。

もし、従来のセールスやコピーライティング、マーケティングを学んだことがあれば、このような手法に違和感は覚えないでしょう。

ただ、私は「100人中2,30人に売れるはず」という考えが抜けなかったので、何が間違っているのか?を考え始めました。

研究すること数年。

ハッとする瞬間がありました。

そのとき得た気付きが「ベネフィットは死んだ」という事実。

「先生」たちが教えていたベネフィットを語るという方法は、確かに何もしないよりはマシ。

だけど、少なくとも4つの理由で終わっていることに気付いたのです。

1つ目の理由は致命傷。

つまり、時制的な困難。

分かりやすいよう、上で挙げたベネフィットを再掲します:

・億を稼ぐことで得られる生活
・住む場所、働く時間、付き合う相手の自由
・ネットバンキングにログインすると銀行の残高が1桁増えている

これらは「まだ億を稼いでいない者」に対して向けられた言葉だということに注意しましょう。

では、言葉の受け取り手にとって、上の言葉の時制はいつでしょうか?

そう、まだ経験していない事柄なので未来ですね。

定義から、未来はまだ経験していないので、イメージするのが難しい。

言い換えると「臨場感」が湧かないということ。

冒頭で触れた「プロ」によると「臨場感」が湧かないと人は動かないそうです。

そこで、イメージを膨らませる言葉を使うことを教えています。

具体的には

・感覚的な言葉
・イメージしやすい言葉
・五感を刺激するコピー

を使うよう教えています。

ただ、時制という視点は抜け落ちています。

この点を見落としながらイメージを膨らませようとするのは、まるでプールの中で大きな板を垂直にして歩くようなもの。

抵抗が大き過ぎて進みたい方向へ進むのが困難なのは子供でも経験的に知っています。

それでもイメージを膨らませようとすると、形容詞や擬音語の多いゴテゴテとした気持ちの悪いコピーになってしまいます。

抵抗を取り除いてあげれば歩きやすくなるのに。

ベネフィットというのは相手が経験していないものである以上、原理的にこの時制の問題から逃れるのが難しいのです。

ベネフィットを語っても売れない2つ目の理由は誤った論理に則ってしまうから。

きちんと書こうとすると長くなってしまいますので、ここでは簡単に触れるに留めます。

思想家たちの思考の賜物によって、世界には2つの論理があると考えられています。

1つは交換の論理、もう1つが贈与の論理。

ビジネスのような長期的な関係の構築を目指す場面に適しているのは贈与の論理です。

ところが、ベネフィットを語ると交換の論理に則ってしまいます。

基本的に「この商品を買ってね、そうしたらこのベネフィットが得られるよ」という論理になるからです。

典型的な交換として、コンビニで買い物をする場面を見てみましょう。

支払いの際には商品とお金を交換します。

それだけ。

・レジを担当してくれた店員さんと長期的な人間関係は築かれましたか?
・彼、彼女に対して罪悪感を覚えましたか?
・何か返さなくては申し訳ないという後ろめたさは生じましたか?

これらの欠如は交換の論理に特徴的です。

ベネフィットを語っても贈与の論理になりにくいというのが2つ目の理由。

そして、ベネフィットが終わっている3つ目の理由は現実的。

つまり法律です。

個人的な感覚として、2020年前後くらいまでは広告に対する法律は比較的緩かったと感じています。

PPCアフィリエイトも行いやすく、媒体の審査を通らないということは少なくとも私はほとんど経験しませんでした。

ただ、購入者を守ろうという健全な動きから、段々と誇大広告に対する法律は厳しくなって来ています。

ベネフィットを語るというのはどうしてもこの動きと対立しがちです。

例えば、

・100%痩せる
・絶対に100万円稼げる
・塗るだけで肌が10歳若返る

なんて書いたら今の時代、一発でアウト。

法律に遵守した(より根本的には購入者の方々の為の)ビジネスを行おうと思ったら、そもそもベネフィットを語ることは不可能になって来ているということです。

何を語るか?

では、私たちは何を語れば良いのでしょうか?

・私が知る中でトップレベルのコピーライターのセールスレター
・伝説のセールスマンから教わったセールス方法
・それに個人的な研究

で磨いた結果、見えて来た私なりの型があります。

既にお分かりのように、ベネフィットは語りません。

(もし、ご自身の商品をお持ちでしたら、そのベネフィットに一切触れずにどうやって売るか考えてみることをお勧めします。)

ベネフィットを語らずに何を語るか、はメルマガで解説しています。

また、その全貌を体系的に「公理的コピーライティング」にまとめようとも考えています。

公理的コピーライティング
コピーライティング能力養成
ベット方法の数学的最適解

P.S.

私は日々、言葉の操作を磨く為の鍛錬を行っています。

その一部はnoteのメンバーシップでメンバーの方々と一緒に行っています。

ご興味がありましたらご参加ください。

【プロフィール】

・25%≦最高成約率≦52.4%(2020年7月24日現在)
・2億円以上売った商品のLP含む24本のセールスレターを執筆(2022年2月8日現在)
・コピー添削20件以上(企業、CVR 80+%の対面セールス構築セミナーLPなど)
・博士(理学)
・理論物理学者
・単著論文多数

【所有媒体】

・email:drkappa100@gmail.com (ご連絡はこちら)
・メルマガ:「The Marketers」
・メンバーシップ:「The Marketers」

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