刺さる言葉の紡ぎ方

From:Dr.kappa
木曜日、19時11分
日本、本州

「儲かるビジネスの構築法」というタイトルで前回はメールを送りました。

一つだけ補足をしておきます。

それは、「どうやってhotな(熱い)市場を探すか?」という点です。

結論から書いてしまえば、「実際の消費を見る」ことです。

なぜなら、人の発言には様々な感情が隠れており、実際の欲求が隠れてしまっている場合があるからです。

1つ例を挙げます。

欧米で「読んでいる」と最も言われる本は何でしょうか?

聖書です。

では、本当に聖書が最も読まれているのでしょうか?

ゲイリー・ハルバートはほとんど誰も読んでいないと指摘します。

続けて、実際に読まれているのは低俗な本だと言います。

なぜでしょうか?

Little Blue Book(直訳だと「青い小冊子」)と呼ばれるシリーズ本が(主にアメリカで)売られていました。

この本は1冊5セント、そして20冊以上を選んで買うという商品でした。

様々な分野の本が提供されており、購入者は本当に欲しい本を含んだ20冊(以上)を選んで購入していたと考えられます。

そして、ゲイリー(と少しの私の考察)によると、次のような論理で、このような商品の消費を見ると人々が本当に欲している物がわかります。

つまり、こういうことです。

一般論として、欲しい本であったとしても、それを買っているところを他人に見られたくない物が存在し、その恥ずかしさが勝った結果買わない場合があります。

そのようなジャンルとして典型的なのが性に関する物です。

ところが、Little Blue Bookのような商品であれば、本当に欲しい本を他の本の間に挟んで購入することができます。

カモフラージュのために買う本はバラバラであると考えれば、それら「オマケ」で買われる本は特に偏りなくあらゆるジャンルに散らばると考えられます。

すると、有意に多く買われるのは、購入者達が本当に欲している本になる筈です。

要するに、Little Blue Bookは、羞恥心など、本当の欲求と別の欲求であって、後者の需要を隠し兼ねない要素を排除できるオファー(=価格や特典の提示)になっていたということです。

このような真の欲求が明らかとなる(理想的な)状況においては、消費規模がそのまま欲求の強さを表すと考えられます。

実際は他の障害となる欲求(羞恥心など)があって隠されてしまう可能性もありますが、現代ではAmazonなどを使えば、誰にも見られず欲しい物を購入することが可能となっていますので、消費規模が欲求の大きさに近付いて来ていると考えて良いでしょう。

したがって、人々の消費を見ることによって強い欲求の存在する市場を浮き彫りにすることができます。

そんな市場を狙っていけば、前回お話ししたように、コピー(=文章)を工夫せずとも売れてしまうビジネスを構築できる確率が高くなります。

以上がhotな市場の探し方に関する補足でした。

ゲイリーの元の言葉に興味がありましたら次のURLから読めます(やはり英語ですが)。

The Gary Halbert Letter

さて、上の補足では欲求が主なテーマでした。

では、「欲求」とは何でしょうか?

「欲求を見せてください」と言われたらどう答えるでしょうか?

少し考えると、実は欲求に実体などなく、言葉で「捏造」された概念に過ぎないことに気付きます。

更に、欲求だけでなく、世界のあらゆるもの・概念が言葉でできていると現代思想では考えられています。

(この点はまた今度、もしかしたら執筆を検討中のレポートでお話しします。)

そこで、今回は言葉の使用法というテーマで書いてみましょう。

より詳細には、ビジネスをする上で肝となる、人を「動かす」言葉の使い方です。

このテーマは私の専門分野でもあります。

日々、売れたセールスレターを分析し、天才達の研究成果に私自身の観察・考察を加えていっているからです。

(詳しくは上で触れたレポートに譲ります。)

どうやって人を動かすか?と漠然と問われると困るかもしれませんが、実は、効果的な方法が知られています。

この方法はアメリカでコンサルタントなどを行なっているサイモン・シネックによって発見されました。

彼によると、語る順序が重要だということです。

何の順序でしょうか?

一般的なセールスマンの営業文句を例に考えてみましょう。

「私たちは素晴らしい商品を作りました。

この商品は美しいデザインで、しかも使いやすいです。

買いませんか?」

ポイントだけ抽出すると、多くのメッセージはこのようになっているとサイモンは言います。

つまり、まず商品(=WHAT)から始め、次にその商品が備えている性質(=HOW)を語っていると言います。

身の回りのCMや売り文句、普段の何気ない会話などを思い出してもらうと納得して頂けるのではないでしょうか。

(私は様々な媒体のコピーを添削させて頂いていると第一号のメルマガで書きましたが、セールスレターの冒頭に商品を出しているレターが経験上ほとんどです。)

なぜなら、WHATは目に見え、語りやすいからです。

したがって、ほとんどの人は商品→性質という順番で語ってしまいます。

ですが、この順序で語ったセールストークの結果はどうでしょうか?

もしあなたがビジネスをしていらっしゃって、(以前の私のように)この順序で語っていた場合、恐らく「思ったほどの数字が出ない」と思われているのではないかと思います。

つまり、WHAT→HOWという順序では人々に刺さらないということです。

ですが、稀に、人を「動かす」天賦の才を持った方がいます。

Appleのスティーブ・ジョブズやキング牧師、ライト兄弟などです。

サイモンによると、彼らは(私含む)一般人と逆の順番で語ると言います。

つまり、信念・信条に相当する「WHY」から始め、次に「HOW」、そして最後に「WHAT」を語ると言います。

例として、Appleのメッセージを思い出してみましょう。

彼らは次のような順序で語ります:

「我々は現状に挑戦し、他者と異なる考え方をします。

現状に挑戦するために、我々は美しいデザイン、簡単な操作性を追求します。

その結果、素晴らしいコンピュータができました。

買いませんか?」

要点だけ抽出すると、Appleのメッセージはこのような順序になっています。

これはサイモンの主張に過ぎません。

人はそれぞれ異なる世界を持っていますから、他人の主張が私の世界でも「正しい」とは限りません(これらの点もレポートに譲ります)。

彼の主張を吟味して初めて私の言葉となります。

色々と考えた結果、彼の主張はいくつかの利点があることが明らかになりました。

その一つを挙げるなら、以前「成約率を上げる10の方法」の中で解説した売り込み臭を消す効果があります。

あのレポートの中でも書きましたが、商品に対して人は売り込み臭を感じます。

そして、人は売り込みを避けるという原理から、セールスのニュアンスを察知した瞬間に避けられてしまいます。

ですが、「WHY→HOW→WHAT」と語ることにより、商品であるWHATは最後に来ることになります。

その結果、売り込み臭を限りなく薄めることができます。

したがって、これだけで大きなメリットがあります。

加えて、相手の欲求をダイレクトに刺激できるというメリットもあります。

この点を解説するには、サイモンの言葉を私なりに定義しなければなりません。

というのも、私は最初、彼の主張を聞いた時、確かにもっともらしいとは感じたのですが、「WHY」の定義がイマイチ良くわからなかったからです。

(彼の主張は2009年のTED講演で聞くことができます。

この動画はYouTubeにアップロードされた後、膨大な数の再生回数を得続けています。

その講演の動画は次のURLから見られます。

優れたリーダーはどうやって行動を促すか
サイモン シネックがシンプルで強力なモデルを使って周りを動かすリーダーシップについて説明します。全てはゴールデンサークルと「何のために」という質問から始まります。成功例として、アップルやマーチン・ルーサー・キング、ライト兄弟を取り上げ、失敗例として (最近の勝訴で株価が3倍になったものの) 苦難の続く TiVo を取り...

しばらく考えていた結果、私なりのWHYの定義は次のように与えました:

i)肝となる欲求とii)それを実現するための戦略。

この2つからなるのが私の考えるWHYです。

これだけでは抽象的なので具体例を考えましょう。

やはりAppleを取り上げます。

私が考えたところ、Appleが狙っている欲求は性欲です。

より正確には「モテたい」という欲です。

そして、Appleはこの欲求を実現するために「他者との差別化」という戦略を選びました。

これがかの有名な「Think different」を生んだ理由だと考えています。

(ちなみに、私のWHYは何かも同じ時期に考えたのですが、私も「モテたい」をターゲットとしているだろうという結論に至りました。

そして、「モテる」為の戦略として私が選んできたのは「美しくなる」です。

ここで、「美しい」も抽象的なので定義しなければなりませんが、私は「無駄を削ぎ落とした効率性」を美しいと定義しているらしいことが判明しました。

理論物理学者を志したのも、理解が深まるにつれて、自然の背後にある原理がシンプルで美しいことに感動したからです。

趣味や副業でも効率性を重視してきたのは私のWHYが上のように与えられているからだろうと気付いて深く納得しました。

したがって、私が言葉の研究という一見遠回りな道を選んでいるのも実はそれが一番効率が良いと考えているからです。

ある意味、今回のメールは言葉を追求する力強さ・効率の良さを示そうという試みとも言えるでしょう。)

WHYの定義に関して1つ注意です。

欲求を司っているのは爬虫類脳と呼ばれる部分です。

この部分は言語を理解できません。

したがって、この部分にアプローチするWHYは「言語」で語ってはなりません。

ですが、人間は言葉を使って認識、思考、判断などを行うので、言語を使わないわけにはいきません。

どうすれば良いでしょうか?

「言語」で語ってはならない、のより正確な意味は、言語を使わなくとも「理解」できるもの、言い換えるなら言葉を使わなくとも「欲する」ものを狙いとすべし、という意味です。

わかりやすい判断基準としては、人間に最も近く、言語を持たないチンパンジーでも欲するもの、です。

そうすると三大欲求の食欲、性欲、睡眠欲くらいが主なターゲットとなってきます。

また、人間の場合は安全欲求と呼ばれる社会的な欲求なども持っていると言われています。

したがって、WHYを定めるために選択する欲求は、これらの「言語を用いずとも欲するもの」としましょう。

さて、WHYの定義を与えたついでに、HOWとWHATの定義も与えておきましょう。

HOWはWHYの戦略を実現するために必要と考える性質・性能(戦略より具体的)、そしてWHATはそれらの性質・性能を備えたものとして(私は)定義しました。

これらの定義を先ほどのAppleでチェックしてみましょう。

AppleのWHYはモテるために他者と差別化することでした。

差別化を図るためにAppleが選択したHOWは美しいデザインや簡便な操作性などです。

そして、これらの性質・性能を備えたもの(=WHAT)としてiPhoneやMacBookなどを生み出しました。

言葉の一通りの定義を与えたところで、WHY→HOW→WHATという順番で語るメリットに戻ります。

上で、この順序で語ることにより、相手の欲求にダイレクトに訴えかけられると書きました。

脳科学の研究などで、人は情報を得た最初の数秒程で、その情報が自分にとって有用か否かを判断しているとわかって来ています。

ここで、「有用か否か」はよりはっきりと書くなら、自分の欲求を満たしてくれそうかどうか、ということです。

WHATやHOWから語っても、欲求には刺さりません。

そもそも、それらの言葉がどの欲求を狙っているのか、爬虫類脳は理解できないからです。

そうではなく、まず真っ先に、言葉を使わなくとも欲する欲求にダイレクトに訴えかけ、「このメッセージはあなたの欲求を叶えますよ」というメッセージを暗に伝えることによって、それ以降の言葉にも注意してくれる確率が高くなります。

(コピーライティングをご存知であれば、この役割を果たすのはヘッドラインと呼ばれる、冒頭の文章です。

大抵の場合、大文字で強調されています。

ヘッドラインはそれ以降の文章を読んでもらえるか否かを左右しますので、コピーライティングにおいては非常に重要で、効果的な構成や単語などが精力的に研究されています。

そもそも読んでもらえなければ、成約などの望む行動を取ってもらえる確率がゼロとなるからです。

研究の結果、最も効果があるのが、読者にとってのメリットが明確にわかるヘッドラインだと判明しています。)

WHYから始めることにはこれらの大きなメリットがあります。

したがって、私がコピーを書く際には、まず狙う欲求を明らかにし、WHY→HOW→WHATの順で書くようにしています。

最後にもう1つコメントです。

ここまでの本文では、刺さる言葉の紡ぎ方というテーマで書いてきました。

ですが、この話は前回の話とも関連付けられます。

つまり、儲かるビジネスを構築するにはまず強い欲求を持った市場を探そうと書きました。

その上で、実際にビジネスを構築する際には、その欲求を叶える商品・サービスを提供していくことになります。

欲求を叶えるには様々な戦略があり得ます。

ちょうど、同じ「モテたい」という欲求に対してAppleは「他者との差別化」を選び、私は「美しくなる」を選んだように。

企業において、この選択を行うのは経営者です。

経営者は、世の中にある問題を認識し、それを解消して行こうという志を持って組織を立ち上げる方々だからです。

企業においては、このWHYを盛り込んだ言葉は一般的に「企業理念」などと呼ばれます。

(一般的には私のWHYの定義の前半部分に相当する欲求の部分が明文化されることは少ないと思いますが。)

市場を選択することで欲求を指定したら、次に(企業理念やWHYに則って)どうやってその欲求を叶えるかを考えます。

ここで考えるのはオファーということになります。

どのような商品とするか、どのような価格とするかなどなど。

そして最後にそれらの性質を備えた商品を売り込みます。

つまり、この段階で初めて(部外者にとっては)言葉が紡がれ始めます。

要するに、儲かるビジネスの構築法でお話しした重要度「市場>オファー>コピー」は、ピタリとWHY→HOW→WHATに重なります。

もう少し詳しく書くなら、まずは欲求を選び、次にその欲求の叶え方を考え、最後に受け手に理性が求められる具体的な「言葉」を紡いでいくという順序です。

(ビジネスも社会を良くするために人を動かして行こうという営みである以上、2つが底の部分で重なるのは当然とも言えますが。)

刺さる言葉を紡ぐ際にもこの順番に注意しましょう。

P.S. 今まで添削させて頂いた中で、業界では有名(らしい)企業様に、(彼らの言葉によると)「企業の理念を磨き、それを魅力的な言葉に換えるお手伝い」をさせて頂いたこともあります。

今回お話しした私なりの定義を利用していただければ、WHYを定義しやすくなったのではないかと思います。

(もちろん、あなたが私の定義に従う必要はありませんが。

むしろ、ご自身の言葉であなたの定義を与えることをお勧めします。

自分の言葉で定義を与えることが思考の第一歩だと私は考えているからです。)

ですが、もし「うちの企業が狙っている欲求はなんだろう」「それを刺さる言葉に換えていくにはどうすれば良いか」「どうしたら魅力的なオファーになるか」など疑問をお持ちでしたら、考えるヒントを出させていただくという形で、上の企業様のようにお手伝いさせていただくことが可能です。

考え方さえわかってしまえが、それ以降は私が入らずとも社内で考えていただけるはずです。

ちょうど、自転車に乗るようなもので、最初は難しく感じるのですが、一旦やり方がわかってしまえばそれ以降は自力で行えるようになるからです。

希望される場合は私のメールまでご連絡ください。



最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。

ご質問やご意見を歓迎します。

このメールは良かったですか?

他にどんなことを知りたいですか?

私のemailまでご連絡下さい。

また、お友達やご家族へのこのメールの転送は
お気軽にどうぞ。

私が提供しているサービス一覧は
次のページをご覧下さい:
https://ownstyle.info/archives/97

—————————————————-
博士(理学) Dr.kappa
email:drkappa100@gmail.com
—————————————————-
※本メールに掲載された記事・情報を
許可なく転載(転送を除く)することを禁じます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました