From:Dr.kappa
木曜日、午後11時36分
日本、本州
しばらくライティングの話ばかりになってしまいました。
そこで、今回は趣向を変えて、
マーケティングの話をしてみたいと思います。
具体的には数学マーケティングの考え方について。
と、その前に、そもそもマーケティングって何でしょうか?
巷には
・デジタルマーケティング
・SNSマーケティング
・バイラルマーケティング
しまいには炎上マーケティング?なんてものまで叫ばれている始末です。
これらの言葉では、マーケティングは
「拡散」というような意味で使われています。
(「売れる仕組み作り」と言う方もいらっしゃいます。)
もちろん、言葉の定義は人によって異なって構いませんので、
どの定義を採用しても良いのですが、
単に拡散と捉えるのではもったいないと私は考えています。
なぜか?
そもそものビジネスの目的から考えれば明らかでしょう。
全てのビジネスは利益を最大化することを目指します。
(顧客に提供する価値の対価としてという部分は
資本主義の原則としてここでは議論しません。)
売上ではなく利益です。
売上は立てようと思えばいくらでも上げることができるから。
例えば、2万円の商品を購入し、
1万円で販売すれば容易に数を売れるでしょう。
この要領で1万個販売すれば、
それだけで売上1億円です。
ただし、仕入れに2億円掛かっているので
利益はマイナス1億円。
この例から、売上は誰でも立てられるが、
利益を上げるのは難しいということが理解できます。
つまり、どうやって利益を最大化するかが
我々の頭の使いどころです。
では、利益を最大化するにはどうすれば良いでしょうか?
世間で頻繁に取られている戦術はできるだけ多くの人に拡散すること。
その為の手段として冒頭で触れたような手法が考えられてきました。
ですが、拡散はあくまで方法の1つに過ぎません。
例えば、フェラーリのような高級車であれば、
多くの人に拡散しなくとも、
ひたすら性能を磨き、単価を上げ、
数億円で販売しても買ってもらえることを目指せば
利益最大化は図れるかもしれません。
実際、この場合、広告費などは掛かりませんので、
冒頭で挙げたような〇〇マーケティングは
むしろしない方がビジネス上有利です。
このように考えてくると、
手法(戦術)よりも戦略が重要だということがわかります。
したがって、私自身は「戦略立案から戦術実行まで」を
マーケティングの定義としています。
この定義を聞いて、
「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われたかもしれません。
私自身もそう思います。
何をするにしても、まずは目的を明確にし、
そこへ至る戦略を立て、
最後に具体的な戦術を考えるのが効率的です。
(実際、私がコピーを書く際は
必ずこの過程を踏むようにしています。
その為に、実践と試行錯誤の中から磨いてきた
独自のフレームワークを使っています。
ただ、この話は長くなるので、
詳しくはまた今度お話ししましょう。)
したがって、ある意味当たり前のことで、
わざわざマーケティングなんて言葉を持ち出さなくとも良いと
私は考えています。
言い換えるなら、そもそもマーケティングなんて言葉を持ち出さないのが
最も効率的なマーケティングと言えるかもしれません。
さて、利益最大化という目的へ向かうと決めたら、
最大化するために
・まずは利益を計測したい
・できることなら利益を事前に予想し、
・その段階で勝てる可能性の高い戦略を選択したい
と考えると思います。
そして、これらを実現してくれるのが
数学マーケティングに他なりません。
数学を使うとなぜ計測や予測ができるのかと言いますと、
以前MAYA理論に触れた際に書いたように、
膨大な人間の行動は確率的に議論できるからです。
どういうことか?
人間の購買という行動は次のような確率モデルで
高精度で記述できることが知られています:
わかりやすいように、アイスクリームという
具体的な商品を考えてみましょう。
顧客Aは好きなブランドを3つ持っているとします。
例えば
・ハーゲンダッツ
・雪見だいふく
・森永チョコモナカジャンボ
の3つ。
そして、それぞれ購入する確率が
ハーゲンダッツ50%、雪見だいふく17%、モナカジャンボ33%
だったとします。
Aさんが1年に20回アイスクリームを購入する場合、
購入の度にサイコロを振って
購入するブランドを決定しているとモデル化することができます。
ただし、このサイコロの3つの面にはハーゲンダッツ、
1つの面には雪見だいふく、2つの面にはモナカジャンボと書かれており、
上の確率を反映しています。
この確率モデルを使うと、Aさんが1年間に
それぞれのブランドのアイスクリームを購入する回数を
誤差がほとんど無く予言することができます。
予言ができるので、それぞれの戦術を取った際の利益を計算し、
利益が最大となるものを選ぶことができます。
と言っても、利益を最大化するためにすべきことは
1つしかありません。
顧客に自社を選んでもらう確率を高めること。
仮に自社商品を選んでくれる確率が100%にできれば
顧客は毎回自社ブランドを選んでくれ、
利益最大化を図れるからです。
この確率を決めるのはそれぞれの好みなので、
数学マーケティングではプレファレンス(preference)と呼ばれます。
つまり、利益最大化を行うためにすべきは
顧客の頭の中にあるプレファレンスを高めること、となります。
長くなってきたので、今回はここまでにします。
数学マーケティングで、人間の購買というぼんやりとした対象を
どうやって数式に載せているのか、
そのイメージだけでも掴んでもらえればと思います。
P.S. 今回お話しした、「戦略立案から戦術実行まで」という立場で
マーケティングの考え方を議論した本として、
森岡さんの本がお勧めです。
マーケティング入門書としても必読の書。
あるいは、もう少し突っ込んだ数学マーケティングに
興味がありましたら、数式も使って
ごまかしなく説明したこちらを読んでみると良いでしょう。
今回考えたアイスクリームの例はこの本に取材しました。
最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。
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