From:Dr.kappa
月曜日、午後2時53分
大学、オフィスより
看護師でなくとも構いません。
ボランティアの方々にも私たちは好感を抱いてしまう傾向があります。
あるいは、もっと身近な例だと、電車の中で席を譲った方たちが分かりやすいかもしれません。
なぜ、私たちは彼(女)らに好感を抱いてしまうのでしょうか?
この方々には共通点があります。
それは献身的な姿勢。
つまり見返りを求めない姿勢を私たちは見ます。
見返りを求めない行為。
それは贈与に他なりません。
要するに、
・看護師
・ボランティア
・電車で席を譲った方
たちに私たちは贈与を感じるということです。
贈与の性質として、贈与者との間に何らかの関係が築かれ始めます。
冒頭で触れた好感というのは関係の1つです。
あるいは、信頼というのも関係の1つ。
・親子
・恋人
・友達
これらの人間関係の中で信頼が生まれるのは、交換ではない、見返りを求めない行為から関係が築かれたからです。
(見返りばかり求めてくる人とはあまり友達になりたくありませんよね。)
見返りを求める行為、つまり交換ではそうはいきません。
毎日寄るコンビニの、挨拶もしない店員さんとは関係は築かれないでしょう。
寧ろ、顔を合わせるのが気まずく、機械化してくれたらホッとするかもしれません。
商品と代金という、資本主義社会で等価とされるものを交換して完結している為、「それ以上の何か」は生まれにくいのです。
交換と贈与という、2つの論理についてはこのメルマガでも何度かお話してきました。
では、なぜ私は今回も似たような話から始めたのか?
理由はこの2つの論理を巧みに利用したレターを見つけたからです。
コピーライターはEugene Schwartz。
彼の桁外れの能力は聞いたことがあるかもしれません。
(私自身、このメルマガで書いたことがあったと思います。)
彼の能力を測る統計として、こんなものがあります。
彼以外の「プロ」のコピーライターが書いた広告が利益を生む確率(広告費以上の売り上げが上がる確率)は30%ほどだと言われています。
この確率はHit Ratioと呼ばれることもあります。
ですが、Eugene Schwartzの場合はHit Ratioが85%だったそう。
つまり、20本書けば17本は当たるということ。
他のコピーライターが20本書いて6本売れる間に、彼は3倍ほどヒットさせていたということです。
言い換えると、彼の書いたコピーには、コンスタントにヒットさせる秘訣が隠れていると考えても良いでしょう。
そして、彼のセールスレターを分析していたら、その秘訣の一端が見えた気がしたのです。
そこで、今回のメールでは私の観察をシェアしたいと思います。
問題のレターはこちら:
https://swiped.co/file/food-is-your-best-medicine-ad-by-eugene-schwartz/
URLからも分かるように、「食べ物が最良の薬」というアイデアを売っています。
より正確には、このタイトルの書籍を販売しているセールスレターです。
本の著者は医師。
したがって、コピーライターという立場から、どうやってこの商品を売るかと考えると、「医師という権威性は使えそうだ」とすぐに思い付きます。
ですが、Eugene Schwartzはそんな平凡な思考に留まりません。
冒頭で挙げた、医療従事者たちの献身的な姿勢まで巧みにレターに利用しているのです。
この点が端的に表れているのは2列目中ほどのクロスヘッド
“Now See How This Method Has Worked ~”の下の1文目。
そこにdevotedという単語が見つかります。
これは「~に捧げる」という正に献身的な姿勢を見せる言葉です。
これだけだと「1つの単語だけじゃないか」と思われるかもしれません。
ですが、少し読んで頂くとわかるように、このレターは著者である医師が患者さんたちに献身的に仕えてきた様子が感じられるように書かれています。
つまり、レター全体を通して、本の著者に対して贈与を感じてもらうことを狙っていると考えられます。
冒頭で触れた例のように、贈与・献身的な姿勢を感じると、私たちはその者に対して好感を感じずには居られません。
「好感を感じてもらったらセールスレターで何が嬉しいのか?」と疑問を持たれるかもしれません。
もちろん、反感を抱かれるよりは好感を持ってもらった方が行動(今の場合は本の購入)してもらいやすいのは確かです。
特に、ビジネスで目指す長期的な関係となると、好感を持ってもらうことで、リピートまで期待されます。
ですが、それだけではありません。
贈与の性質として、罪悪感、後ろめたさを感じてもらうことも可能となるのです。
こんな経験は無いでしょうか?
年賀状を出していない相手から年賀状が届いて「しまった」経験。
なぜ、私たちは届いて「しまった」と感じるのでしょうか?
それは、自分が出していないのに、相手からは貰ってしまったから。
言い換えると、被贈与者は「相手から受けたものに自分が値しない」と感じる傾向があります。
「値しない」という感情の起源は贈与の定義にあります。
つまり、見返りを求めず一方的に与える行為であるが故に、贈与を受けた者は「自分は値しない」と感じてしまうのです。
その結果どうなるか?
「お返しをしないと」と私たちは感じるわけです。
今年の年賀状が間に合わなかったら、豪華な寒中見舞いや暑中見舞いを贈るかもしれません。
困った時に友人に助けてもらったら、今度は彼(女)が困っている時には喜んで手を差し伸べるでしょう。
電車で席を譲ってもらったおじいさん、おばあさんは、スーパーで買った(よくわからない)ものを若者にプレゼントするかもしれません笑
このように、贈与はその定義から被贈与者に罪悪感・後ろめたさを与える性質を持っています。
Eugene Schwartzが使用したのはこの点。
つまり、商品である本の著者。
彼の医師という権威性も使いつつ、もしかしたらそれ以上に彼の献身的姿勢を見せ、セールスレターの読者に贈与を感じてもらいます。
そうすると、贈与の性質から「もらってばかりでは申し訳ない、お返しをしないと」と思い始めるわけです。
では、この場合のお返しって何でしょうか?
そう、商品の購入です。
Eugene Schwartzは恐らくこの点まで狙って医師の献身的な姿勢を見せるようにしていたのだと私は観察しました。
個人的な体感として、最近、「そこまで無料で良いの?」と思うほどプレゼントしてくれるコンテンツ提供者が増えてきた感覚があります。
利益を生まないことは続ける筈はありませんので、Eugene Schwartzが少なくとも53年前に使っていた人間の傾向が一般にも理解されてきたのかもしれません。
P.S. プレゼントと言えば、日曜日まで無料で受け取れるサービスがあります:
https://businesssuccess.com/2021-feast-of-education-register-now/
全部で30ものコースが28日までは全て無料で受けられるようです。
私もいくつかは見てみようと思っています。
もちろん、「無料だからできるだけもらってやろう」という方も出てくる筈です。
それは提供者達も分かっています。
ですが、資料を持っていても使えなければ無いのと同じです。
クレクレ君と呼ぶ方々もいますが、「貰えるものは何でももらおう」という方はどうやら贈与者たちよりもビジネスで苦戦するようです。
というのも、次のような興味深い統計があります:
この調査では、眼鏡士たちの売上高を調べました。
その結果、贈与をしようとする者たち(調査ではより正確にはギバーと呼んでいます)はクレクレ君(より正確にはテイカー)よりも年間売上高が68%以上多かったとのこと。
この傾向は個人的にも納得感があります。
職業柄、学生さん達に教えることがあるのですが、教えている時の方が教わっている時よりも得るものが多いからです。
したがって、私は学生さん達には積極的に輪講で発表することを勧めています。
贈与することで失うと思っていたら、それは大間違いです。
最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。
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