「弱いつながり」の強さ

From:Dr.kappa
木曜日、午後2時08分
大学、オフィスより

前回のメールでこんなことを書きました:

・贈与は関係を構築する
・関係の1つに信頼がある
・資本主義社会において信頼は価値

したがって、贈与は価値を創造すると書きました。

ただ、だからと言って無闇やたらに贈与をしようと意気込むと、疲弊してしまうことになり兼ねません。

(実際は贈与者になるのは簡単ではありません。

定義から見返りを求めてはならないからです。

したがって、「正しい」贈与は気付かれない、と近内さんは言います。)

では、どうすれば自分を犠牲にせずに済むでしょうか?

「パンダ似のオタク」がヒントを与えてくれます。

彼は自称「シャイで内気なコンピュータ・オタク」。

コンピュータサイエンスの修士号を2つ、特許を1つ持ち、NASAの為にスーパーコンピュータのアプリケーションを、マイクロソフトの為にインターネットシステムを開発したという人物です。

この経歴だけ聞くと、本人が自称するように内気で友達も少なそうだと思うかもしれません。

では、実際はどうでしょうか?

実は彼は「世界一」の人間関係を築いていたのです。

フォーチュン誌が選んだ有力者640人とビジネスSNSリンクトインで、地球上の誰よりも多く繋がっていました。

なぜ、「内気なオタク」にそんなことが出来たのか?

秘密は彼の座右の銘(の1つ)にあります:

「私は弱いつながりの強さを信じる」

強い繋がりとは家族や親友のこと。

一方で弱い繋がりというのは、ちょっとした知り合いのことです。

そして、「パンダ似のオタク」は強い繋がりではなく、弱い繋がりを重視していたのです。

ここに冒頭の問題に対するヒントがあります。

つまり、「5分間の親切」をすること。

5分程度で出来る親切であれば、ケチケチせずに行いましょうと言うことです。

その実例はここに詳しく書かれていますが、1つだけ挙げると人の紹介があります。

恐らく一度は人を紹介した経験をお持ちだと思いますが、5分も掛からない場合がほとんどです。

単に、「こちらはAさん、そしてこっちがBさん」と引き合わせるだけだからです。

ですが、紹介してもらった方にとっては掛け替えの無い親切になる場合があります。

実際、「パンダ似のオタク」はこのような方法で何名ものビジネスを助けたのでした。

その中にはTwitterの共同設立者エバン・ウィリアムズも含まれます。

結果的に、助けられた方としては「借り」を感じます。

(これこそ贈与であることの証拠。)

先に贈与を行なったことにより、必要な時に助けてもらう事も可能になるのです。

しかも、5分でできるちょっとした親切に留めておくことにより、自分自身が疲弊してしまう事も避けられます。

この方法を解説した上の本では、なぜ「内気なコンピュータ・オタク」が「世界一」の人間関係を構築でき、しかもビジネスでも成功しているのか、心理学や社会学など、様々な研究を交えて解説してくれています。

贈与の論理と交換の論理、2つの論理を手にすると、彼は正に贈与者であることにも気付くでしょう。

贈与論の理解を深めたい場合はお勧めします。



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