説得力のある文章のもう1つの要素とその4つの書き方

From:Dr.kappa
木曜日、午後11時50分
日本、本州

(これは、2020年10月9日に送信した私のメルマガを一部編集したものです。)

前回はリサーチの話をまとめました。

具体的には、見込み客のAwarenessの話でした。

日本語だと認知度。

つまり、商品や提供者、痛みにどれだけ気付いているかという度合いを正しく把握することが重要だという話をしました。

この判断を誤ると、私が過去に犯したミスのように、利益が思ったほど伸びないという結果になり兼ねません。

簡単に再掲しておきますと、Gene Schwartzが行なった分類に則り、次の5段階に分けて考えられることが多いです:

・most-aware(認知度が最も高い)
・product-aware(商品の認知)
・solution-aware(解決法認知)
・problem-aware(問題認知)
・unaware(不認知)

の5つです。

このAwarenessという概念は「マーケティング」にも使えます。

(私はまだ自分の言葉でマーケティングを定義できていないので、「」に入れています。)

「マーケティング」は一般的には「売るための仕組み」というような意味で使われています。

(有名なマーケッターのダン・ケネディは社長の仕事はマーケティングと言っています。

https://www.dankennedy.jp/marketing.php)

したがって、このAwarenessという概念を正しく理解・把握することによって効果的な「マーケティング」戦略を立てることもできます。

そこで、今回のメールではこの話をしようかと思いました。

前回のメールと関連が深いので。

ただ、前回のメールで「説得力のある文章の残りの半分について書く」ともお約束しました。

そこで、「マーケティング」にAwarenessをどう応用するかという話は次回に回したいと思います。

そして、今回は約束通り説得力のある文章のもう半分の要素についてお話しします。

もう半分の要素とは何か?

今回も答えから書いてしまうと、読む抵抗の小ささです。

読む抵抗って何?と思われるでしょう。

それもそのはず。

これは私の造語だからです。

簡単に言えば、読みにくい文章は読む抵抗が大きく、読みやすい文章は読む抵抗が小さい、と私は呼んでいます。

心理学で似た概念が知られており、認知的流暢性と呼ばれています。

つまり、説得力のある文章とは「説得力を持ったアイデア(ビッグアイデア)」を「読む抵抗の小さい言葉」で表現したものです。

(この定義は以前にも登場した超一流、マイケル・マスターソン(本名:マーク・フォード)の考えを参考にしました:
https://www.theresponse.jp/blog/saleswriting/71130/

この2つの条件が満たされた文章は説得力を持ちます。

それ故、セールスレターに限らず、上司や部下、あるいは恋人、家族の説得などにも使えます。

読む抵抗について簡単に話したところで、具体例を考えるために、私がこの造語に至った経緯をお話ししたいと思います。

何度か書いたことがありますが、私は2019年の8月から売れたセールスレターの分析を始めました。

そして、最初の頃は(このメルマガで何度も登場した)Gary Halbertのレターを分析していました。

恐らく、1本目か2本目だったと思います。

確かまだ8月だった時に、次のレターを分析していました:

Amazing Diet Secrets Ad from Gary Halbert » Swipe File Archive » Marketing & Copywriting Examples
An exclusive example from our swipe file ... Amazing Diet Secrets Ad from Gary Halbert - one of the many profitable marketing & rare copywriting examples from o...

これはダイエット法を解説した本を膨大に売った広告です。

(ネット上には日本語版も落ちているので、そちらのリンクも貼っておきます:

https://ameblo.jp/qeb5151/entry-11824807001.html)

英語版で4段落目を分析していた時でした。

コピーライターのHalbertは、主人公が「188ポンドだった」とは書かず、「体重計の針は188ポンドを指していた」と書いています。

私はここに違和感を覚えました。

なぜ自然な前者の書き方ではなく、少し回りくどく感じる後者の書き方をしたのか?と。

しばらく考えていたところ、読みやすくするためであろう、という結論に至りました。

つまり、こういうことです。

この1文だけではなく、少し前から読んでみますと、「浴室の体重計に乗った」という記述があります。

この文章を読んだ時、あなたは何をイメージしたでしょうか?

浴室に置かれた体重計をイメージしたと思います。

では、その直後に「私は188ポンドだった」と書かれていたら何をイメージするでしょうか?

体重計のイメージから飛び、広告の語り手となっている主人公をイメージすると思います。

そして、私の分析によると、Halbertはこのイメージの飛びを避けるために敢えて(一見回りくどい)「体重計の針は188ポンドを指していた」という書き方をしたのだろうと結論しました。

どういうことでしょうか?

人間は言葉を理解する時、多かれ少なかれ、頭の中で言葉をイメージに変えます。

(ちなみに、このイメージを鮮明に描ければわかりやすいと感じる傾向があります。

それ故、抽象的な言葉より具体的な言葉がわかりやすいのです。)

したがって、頭の中のイメージがスムーズに移り変わるように言葉を並べてあげると、イメージの切り替えが少なくなります。

その結果、(意識的にせよ無意識的にせよ)頭に入りやすい文章となります。

そして、これこそが上で引用した文章においてHalbertが狙っていた点ではなかろうかと私は分析しました。

具体的には、まず(浴室の)体重計をイメージさせたので、その体重計のイメージを引き継ぎ、「体重計の針」と語り継いだのだろうと考えました。

頭の中のイメージをスムーズに繋ぐこと。

この「原理」に一旦気付いてしまうと、Halbertのコピーではこの点が意識されている箇所が少なくないことに気付きます。

つまり、彼は表面上の言葉ではわからない、前後との関係まで含めて読みやすくなるように(私の言葉だと読む抵抗が小さくなるように)配慮してコピーを書いていたということです。

逆に、この「原理」を認識していない者(以前の私など)が書いた文章ではイメージがあっちにこっちに飛びます。

その結果、読者は頭の中でイメージを常に切り替える必要があり、言葉ヅラからはわからない読みづらさを(意識的か無意識的か)感じます。

読みにくい文章はセールスレターでは避けなければなりません。

さもなくば、レターの途中で離脱されてしまうからです。

離脱されては購入してもらうことは期待できません。

なので、レターを書く者としては、できるだけ最後までスルッと読んでもらえるコピーが理想となります。

突っかからずにスルッと読める文章。

私は本業では理論物理学の研究者をしていますので、このイメージから抵抗という概念が思い出されました。

電気抵抗は小学校の理科の授業でも習うので、ご存知だと思います。

この電気抵抗というのは、実は電気(専門用語では電荷)の運び手となる電子が、物質中の原子などにぶつかってまっすぐ進めないことが起源だと考えられています。

逆に、電気抵抗が小さな物質であれば、電子はほとんどぶつかることなく、スルッと通ることができます。

正に理想的なセールスレターのように。

そこで、読みやすさを妨げる要因を読む抵抗と呼ぶことにしました。

では、読む抵抗を大きくする要因としてはどのようなものがあるでしょうか?

1つは上で挙げたイメージの飛びです。

(私は今までにコピーライティングに関する書籍を10冊以上、前回お話ししたAWAIというマイケル・マスターソンらが設立した組織のブログも濫読していますが、この「原理」を指摘したものは知りません。)

この概念を発見したレター以外にも、私は今までに合計で21本のレターを分析し終えていますので、抵抗を大きくする要素を2020年10月8日現在、34個見つけています。

さすがに34個全てを今回のメールで解説することはできませんので、重要ないくつかだけをお話ししたいと思います。

これらだけでも意識してもらえば、読む抵抗の小さい文章となり、意識できないレベルから読みやすい文章になるはずです。

1つは短い文。

これはわかりやすいでしょう。

長文だと目の移動も大きくなり、これも読む抵抗の一因となります。

(目が疲れたら読み続けたいと思いませんので。)

理想としては眼球をほとんど動かさなくて済む程度の短い文章とすること。

2つ目は読者の言葉を使うこと。

それにより、読者が親しんだ言葉となるからです。

実は、これも認知的流暢性で説明することができます。

人間の脳は同じ回路を何度も使うとその回路が強化されます。

その結果、段々と反応に掛かる時間が短くなっていきます。

スポーツや受験勉強などで繰り返しが重要だと言われるのはこのためです。

同様に、人間は自分の専門や興味・関心を持つ分野には長く接していますので、その業界で使われる言葉に対する反応は速くなっています。

それ故、相手が慣れ親しんだ言葉を使うとすぐに消化してもらえると考えられます。

逆に、親しみの無い言葉だと中々理解できず、読む抵抗が大きくなります。

(同様の論理から単純接触効果も認知的流暢性で説明できると考えられています。)

例として、私が慣れ親しんだ言葉、そしてこのメルマガの読者の方々は親しみを持たない次の言葉は読みにくいと感じるはずです。

「ある集合Sの要素x,yを取り、それらで部分集合Uを構成する。」

これは数学の集合論の言葉なので、数学者や理論物理学者にとっては読む抵抗が小さくとも、多くの方々にとっては読みにくい文章だと思います。

この例から学べる教訓は、読む抵抗は読者によっても変わるということです。

それ故、読者がどのような言葉を使うのか、これも読む抵抗を小さくするためには重要です。

そして、読者が使用する言葉を理解するにはやはりリサーチを行います。

つまり、リサーチは読みやすい文章を書くという点でも必須だということです。

読む抵抗を小さくするもう1つは書く順番です。

私の観察では、抽象から具体という順序で書いてあげると読む抵抗が小さくなります。

例として、次の2文を比較してみましょう:

A:北へ進んでください。交差点を5つ越えて、コンビニを斜めに見ながら、郵便局の前を通過して、神社が見えたらそこを右に曲がったところが目的地です。
B:交差点を5つ越えて、コンビニを斜めに見ながら、郵便局の前を通過して、神社が見えたらそこを右に曲がったところが目的地です。北へ進んでください。

A,Bは単に2文の順番を入れ替えただけです。

ですが、Aの方では最初に大雑把に進むべき方向が指示されているので、詳細はわからなくとも大体すべきことは把握できます。

一方、Bの方は最初から詳細を語られているので、全体のどの部分にいるのかが把握できないまま指示が続きます。

それ故、おそらくBの説明では一回では相手は理解できないでしょう。

このように、まずはざっくりと全体像を見せ、それから詳細を詰めていくと、現在、全体のどの部分にいるのか?が把握しやすく、読みやすい文章となります。

この順序はプログラミングとの類推でも理解できます。

プログラミングをしたことがあったらご存知だと思いますが、プログラムではまず使うメモリを宣言します。

これが抽象・大枠を指定することに相当します。

そして、メモリという外枠を指定した後で、そのメモリに入力する実際のプロブラムを指示していきます。

それはプロブラムの話でしょ?と思われるかもしれません。

ですが、プログラムと人間の脳(ここで「人間の脳とプログラム」と言わなかったのはイメージをスムーズに繋げるためですが、お気付きでしょうか?)は非常に似ています。

(類似性を裏付ける証拠として、人間とAIを識別できるかというチューリングテストと呼ばれる試験まで数学者によって提案されています。)

上の2つの例文が良い例です。

私の観察によると、人間も何か言葉を受けた時、プロブラムのメモリのように、続く言葉を収納する箇所を準備するようです。

なので、その準備ができるようにまず大枠(抽象)を与えてあげ、その後でそこに入力される詳細を与えてあげると受け取りやすくなります。

つまり、読む抵抗が小さくなるということです。

今回は長くなってきたのでここでまとめておきます。

説得力のある文章とは「説得力を持つアイデア(ビッグアイデア)」を「読む抵抗小さく」表したもの。

読む抵抗が小さい文章は読みやすい。

(実は説得力も増すことがわかっています。

つまり、読む抵抗が小さい言葉でビッグアイデアを表現することで、更に強いアイデアとなります。

この点はまた今度お話しします。)

そして、読む抵抗を小さくするには、次の4つが有効なのでした:

・イメージをスムーズに繋ぐ
・短い文
・読者の言葉を使う
・抽象から具体という順序

この4点だけ意識して頂ければ、非常に読みやすい文章になり、説得力も増すと考えます。

参考になりましたら幸いです。



最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。

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