From:Dr.kappa
木曜日、午後3時01分
大学、オフィスより
前回のメールからちょっと時間が空いてしまいました。
現在、複数の研究を行っており、毎日のように議論をしているからです。
また、ありがたいことに副業でも忙しくしているので、メールを書く時間が中々取れませんでした。
「もっとメールを読みたいぞ」という場合はこの件名でメールを下さい。
もう少しメルマガも頑張りたいと思います笑
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さて、本題です。
前回のメールでは、私が言葉と人間を研究する上で理論物理学の方法を応用しているという話をしました。
つまり、様々な研究・考察から、確からしいと思われる公理を立てておき、全ての性質をそこから導出しようとする考え方です。
前回のメールでは足し算を抽象化した可換群という数学の例を取り上げてお話ししましたね。
ここで、「全て」と書いた点にご注意ください。
数学の「公理が正しければ、そこから得られた主張も正しい」という普遍性ゆえに、純粋数学だけでなく理論物理学や化学、金融などでも使われています。
では、言葉と人間に関してはどうでしょうか?
言い換えると、前回お話しした興味の公理から他の現象は説明できないでしょうか?
「全て」を説明できるのであれば、他の事例を持って来ても説明できる筈です。
そこで、今回のメールではコピーライティングで強力だと言われている「型」がなぜ強力なのか?を調べてみたいと思います。
と言っても、私は全てを知っている訳ではないので、今回は代表的な4つを考察します。
具体的には、
・〜の方法
・もし〜なら
・疑問詞
・新(や発表)
の4つ。
では順番に見ていきましょう。
「〜の方法」が強力である理由の1つは前回のメールでも書きました。
つまり、何かをする方法という外枠だけを見せることによって、中身のわからない空間の存在が示唆され、興味を引けるからでした。
ただ、この型が強力である理由は他にもあります。
それは「〜」に入る部分が大抵相手の快楽に繋がるから。
前回のメールで挙げた例を再掲するなら、
「成約率52.4%を出した方法」
「1600万円を稼いだ方法」
「ROAS 686.3%を出した方法」
のどれも「〜」の部分に相手にとって好ましい状況が入れられていることにご注意ください。
したがって、単に興味を引けるだけでも強力なのに、この型は同時に快楽まで仄めかすことができる言い回しなのです。
人間(だけでなく動物)は痛みを避け、快楽を得るように行動します。
この型は「中身は分からないが解説されている手段によって快楽を得られる」というニュアンスを端的に伝えられるが故に強力なのだと考えられます。
2つ目を見てみましょう。
コピーライティングの文献を読んでいると、「もし〜なら」は非常に強力だと書かれています。
この主張の背後には膨大なABテストがある筈です。
ですが、ここでは演繹的に「なぜ」この言葉が強力なのかを考えてみましょう。
この言葉を受けた時の人々の反応を観察したところ、もしという条件付けによって私たちは何かが起こることを(ほぼ自動的に)想定してしまうことに私は気付きました。
言い換えると、「もし」という条件とその結果起こることを私たちはセットにして考えているということです。
その為、「もし」という言葉を使うだけで「中身のわからない」空間の存在が示唆されます。
これは興味の定義に他なりませんでした。
したがって、
「もしピアノが弾けたら」
「もし月収100万円稼げたら」
「もし成約率20%を出せたら」
などという言葉によって私たちは興味を掻き立てられずには居られないのです。
私の観察によると、これが「もし」という言葉が強力である理由。
3つ目に疑問詞を見てみます。
これは「なぜ」や「どうやって」、「どれ」などのことです。
この型も興味を引く効果があります。
なぜでしょうか?
(疑問詞を使ってみました。)
これらは質問をする際に用いられるものです。
(英語の場合は関係代名詞にも使えるので「英語だと興味を引きやすいな」と私は常々考えています。)
疑問詞も「もし」同様、「答え」とセットになっている場合がほとんどなので、私たちは疑問詞を使った質問を受けると「中身の分からない空間の存在」を知るからです。
また、特に「なぜ」について、もう少しコメントしておきましょう。
この疑問詞を使って文章を続けると、その文章は仮定されてしまいます。
つまり、「事実」として受け取られる傾向があるということです。
例を見てみましょう。
「私は成約率52.4%を出しました」
「なぜ私は成約率52.4%を出せたのか?」
この2文を見比べてみてください。
違いが分かりますか?
もちろん、1つは肯定文、もう1つは質問なので全く意図が異なります。
ですが、後に続いている文章の内容はほとんど同じです。
それにも関わらず、前者の場合、この文章を読んだ瞬間に「本当に?」という主張に対する懐疑が生まれたのではないでしょうか。
一方、2つ目の文章はどうでしょう。
こちらの場合は後に続いた文章は「事実」としてスッと入り込んでしまったと思います。
少なくとも1つ目の文章よりは懐疑が弱かった筈です。
というのも、2つ目の文章では主張ではなく仮定・前提となっているから。
その為、相手に納得してもらいたい主張は「なぜ」という形でヘッドコピーなどに持ってくると、その主張は前提として受け入れられやすい傾向があると私は観察しています。
そして、これこそ(特に英語の)セールスレターのヘッドでこの型が多用される理由だと考えています。
さて、最後に「新(や発表)」を見てみましょう。
これはなぜ強力なのでしょうか?
その理由の1つは、「新」や「発表」という言葉には「今までと異なる」というニュアンスが含まれるからです。
以前のメール「否定の力」の中でも書きましたが、否定をすると未知の空間の存在が示唆されます。
より詳細には「今までと違う」という外枠だけが与えられ、その中身については言及しない型が否定に他なりません。
「新」や「発表」という言葉にはこんなニュアンスがあります。
それ故、
「何が変わったのか?」
「何ができるようになったのか?」
「何をもたらしてくれるのか?」
と興味を引くことができるのです。
以上のように、コピーライティングの文献で必ずと言っても良いほど強力だと言われる型の(ほぼ)全てが興味の公理だけで理解できてしまいます。
逆に、興味の公理を満たす他の言葉が思い付けば、相手に狙った影響を与える言葉を自力で紡くことも不可能ではないと言うことです。
なぜ公理的方法が強力なのか。
(「なぜ」を使ってみました笑)
その一端だけでも伝わりましたら理論物理学者として嬉しく思います。
P.S. 冒頭に書いたように、ありがたいことに副業でも忙しくしています。
具体的には、新しいセールスレター執筆の依頼を頂き、今日21日から執筆準備を始めました。
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最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。
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