ABBA

From:Dr.kappa
土曜日、午後2時08分
街、カフェより

久しぶりに街に出て来ました。

(家族と一緒に。)

キャンパス周りでコロナが落ち着いてしばらく経過したからです。

そこで、今日は数ヶ月ぶりにカフェに来て、コーヒーを飲みながらこのメールを書いています。

(私はコーヒーが好きなので、毎日飲んでいます。)

このような話をすると、コーヒーに関連して書かれた有名なセールスレターを思い出されるかもしれません。

そう、今回はそのレターをテーマにお話ししようと思っています。

**

言葉を紡ぐ際に意識されていることは色々とあると思います。

有名なところだと

・全体の構造
・何を書くか
・単語の選択

などなど。

これらはどれも重要です。

どれか1つが疎かになっても狙った反応を引き出すのは難しいと私は考えます。

ですが、このリストには載っていない要素、そして他の方々が解説していることを個人的に見たことの無い要素をご紹介したいと思います。

(私が知らないだけかもしれませんが、日本語だけでなく、英語の文献を読んでも今までにこのコツに触れられているものは見たことがありません。)

その要素とは「文の中の順番」です。

どういうことか?

具体例を見てみるのが早いでしょう。

カフェインレスの飲み物を販売したレター
https://swiped.co/file/why-men-crack-ad-by-young-rubicam/
をご覧ください。

特に、最初のクロスヘッド”Borrowed Energy Must be Repaid!”の1つ目の段落の最後の文を見てください。

そこには次のように書かれています:
They have deprived themselves of nothing.

直訳すると「彼らが奪われたものは何も無い」などとなります。

この文には実は「ある意図」が隠れていることにお気付きでしょうか?

それが上で触れた「文の中の順序」です。

素朴には、「同じ」意味を伝える文章として、次のように書くこともできる筈:

「彼らは何も奪われていない」

それにも関わらず、レター執筆者は前者の順序を使いました。

なぜでしょうか?

この問いを私は本レターを分析している時に立てました。

そして、自分なりの結論を出しました。

私が考えるコピーライターの意図とは、語の順番をコントロールすることで、効果を劇的に見せること。

もう少し説明が要るかもしれませんね。

「奪われる」という言葉にはマイナスのニュアンスがあります。

したがって、これを先に見せることで一旦落とすことが出来るのです。

落とした後に「実はそのマイナスが無いよ」と伝えることで、あたかもプラスのようなニュアンスを読み手は受け取ります。

というのも、全ての「価値」は相対的だから。

一方で、「何も奪われない」と言ってしまうと、最初にマイナスが無いことを知らせてしまうので、「奪われない」と言った時のありがたみが薄まります。

この微妙なニュアンスの違いが伝わるでしょうか。

(文は基本的に前から読むので時系列が効いて来るということです。)

私はこの文を特にこの順番で書いた理由を考えることで、文中の語の順番のコントロールという概念に到達しました。

もしかしたら、「そんな小さな違いでは違いは出ないよ」と思われるかもしれません。

確かに、数文だけでは効果は大きくないでしょう。

ですが、数10、数100、時には30000文字もあるレターで数1000もの文章を重ね、その1つ1つの順番を細部まで意識した時、蓄積された効果はどうなるでしょうか?

たった1文だけでも違いはゼロでは無い訳です。

1ヶ所の順番を操作することで成約率が0.1%でも変われば、アクセス1000件につき1件の成約数の違いが生まれます。

もし、レターの始まりから終わりまで、徹底して語の順番をコントロール出来るようになったら、どれだけの違いが生まれると思われますか?

今回のメールが、今以上の反応を引き出すお役に立ちましたら幸いです。


P.S. このレターの他の部分に込められたコピーライターの意図(の中で私が読み取れたコツ)を知りたい場合は、こちらの分析レポートをご覧ください

最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。

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