どうやって一流になるか?

From:Dr.kappa
月曜日、午後4時16分
大学、オフィスより

数週間前のことです。

実は野暮用で日本に一時帰国していました。

久しぶりの日本だったので、用事がほとんど片付いた後、懐かしい友人たちにも会いました。

その1人は10+年来の親友。

以前書いたと思いますが、ポーカープレイヤーです。

彼は日本でもかなり上位に入っていた記憶がありました。

今回、会った時に本人に聞いてみたら、16位に入賞した経験があるそうです。

「日本にはもうあまり上がいないから、今は海外を目指している」と言っていました。

そんな彼と、飲みではなく、健全(?)な遊びをしました。

そう、ポーカーです。

(アミューズメントカジノへ行ったので、日本でも合法です、念のため。

彼が強いのは当然です(最初のチップを3倍近くまで増やしていました)。

ですが、私も初心者ながら一通りの理論は勉強していました。

なので、「それでこれだけ打てるならセンスがある」と彼は言ってくれました。

ただ、そこはまだ初心者。

時々ミスをして、大きくチップを失う場面がありました。

隣で打っていた親友は、私のプレイを見ながら度々アドバイスをしてくれます。

具体的には

・スモールブラインドから参加する際は必ずレイズすること
・レイズサイズは他のポジションからよりも大きめ(目安は4倍)にすること
・私が記憶違いをしていたレンジの訂正

などなど。

ここで、彼の教えを理解するために、ポーカーのルールを簡単におさらいしておきたいと思います。

ポーカーの流れとしては、まず各プレイヤーに伏せた状態でカードが2枚づつ配られます。

そして、その2枚と、後々場に開かれる最大5枚のカードを使って、役の強さを競うゲームです。

各ターンでプレイヤーは降りるか、あるいは参加するかを選択することができます。

参加の際には基本的に2つの選択肢があります。

1つは必要な最低チップを出して参加する方法(コールと呼ばれる)、もう1つがそれ以上のチップを出して参加する方法(レイズと呼ばれる)の2つです。

各ゲームで勝利すると場に集まったチップをもらうことができます。

また、もう1つ重要な概念として、ポジションがあります。

アクションは時計回りで順に行なっていきます。

順番が後のプレイヤーほど、先のプレイヤーのアクションを見てから自分の行動を決定できるので、情報が多く、有利だと言われています。

(フロップと呼ばれるターンから最初にアクションしなければならず、最も不利なポジションをスモールブラインドと呼びます。)

以上のルールから、基本的な戦略は次のようになります。

配られた2枚のカード(ハンドと呼ばれることがあります)が強ければゲームに参加し、弱ければ降りる。

参加する際にはレイズすることで、他のプレイヤーから「強いカードを持ってそう」と思われ、降りてもらいやすくなる。

(自分以外の全員が降りたらチップをもらうことができます。)

ここで、どのハンドだと強く、どれは弱いのか、は既に数学的に計算されています。

この表をレンジ表と言って、ポーカープレイヤーはこの表を覚えることから始めます。

(上に書いたように、ポジションが後の人ほど有利なので、レンジ表はポジション毎に決まっています。

基本的には、ポジションが遅いほど情報が多く有利なので、より弱いハンドで参加することができます。

一方で、スモールブラインドのように早く行動しなければならないポジションの場合、不利なので強いハンドでのみ参加することが数学的には好ましい戦略です。)

これだけのルールを抑えれば、彼のアドバイスを理解することができると思います。

3つ目のレンジ表の記憶違いはわかりやすいですね。

弱いハンドで参加してしまうと負ける確率が高くなります。

期待値がマイナスになるアクションなので、このミスは直ちに修正する必要があります。

前半の2つはもう少し説明が必要かもしれません。

もし、スモールブラインドからコールで参加したらどうなるでしょうか?

後ろに続くプレイヤーたちは(レイズした場合と比べて)少ないチップでゲームに参加することができます。

参加者が増えると単純に勝率は下がるので、これも期待値が下がるプレイとなります。

そこで、スモールブラインドのように不利なポジションから参加する際は、レイズして後ろの有利なプレイヤーを降ろしておくことが好ましい、というのが彼のアドバイスです。

レイズする場合には新たに「いくらチップを出すか?」という選択が発生します。

この時、チップ数を多めにすることによって後ろのプレイヤーが参加しにくくしよう、というのが彼の2つ目の教え。

(私はこれらの理論を一度は勉強していたはずですが、テーブルで実践できていなかったことを親友の言葉で痛感しました。)

**

これらの教えを聞いていて、「あ、同じだ」と感じたことがあります。

「なんとなく」が無い、という点です。

ポーカーで私たちがすべきことは多くありません。

各ターンで参加するか降りるか。

参加する場合はコールするかレイズするか。

レイズする場合はどれだけのチップを出すのか。

大体これくらいの選択しかありません。

ですが、私の親友のように強いポーカープレイヤーはその(ほぼ)全ての選択を根拠に基づいて行なっていることを彼の言葉から知ることが出来ました。

そして、「なんとなく」を無くすことで一流に近付けるのだと気付きました。

このことは、私が深めて来た道では行なっていたことです。

例えば、私の本業の研究では、「なんとなく」など許されません。

何かを主張する際には必ず根拠、例えば

・数学的な証明
・物理的な理由
・先行研究の参照

などを示す必要があります。

また、副業で行なっているコピーライティングでも、まだまだ一流には遠いですが、少なくとも私がコピーを書き始めた頃よりは「なんとなく」が減っています。

・セールスレターのリードタイプは何を選択すると良いか
・2つの要素を書く際、どちらを先に見せるか
・フォントは何を選ぶか

などは、現在では根拠を持って選択することができています。

特に、最後のフォントは本業(や個人的なノート)にも転用しています。

私が参加してきたセミナーでは、コピーライティングの観点からスライドが読みにくいものが少なくありませんでした。

手書きのようなフォントやかっこいい書体を使う研究者がいますし、Ogilvyが反転と呼んだ、黒背景に白文字を使う者もいます。

「スライドの見た目を良くしたい」という願望は私も持つことがあるので理解できますが、それは聴衆に理解してもらうこととは別物です。

自分で満足するために作るスライドなら良いですが、誰かに伝えることを目的とする場合は自分の欲求は傍に置いておくべきだと私は考えています。

(私だけでなく、過去の一流コピーライターたちも同意してくれることでしょう。)

私の事例だけでは説得力がないかもしれません。

ただ、有名なビジネスの例も思い出されます。

Amazonです。

創業者のジェフ・ベゾスがどのようにAmazonのビジネスモデルに至ったかは見聞きしたことがあるかもしれません。

私が以前読んだ記事では、当時インターネット業界の規模が数100%という速さで成長していたことを、ベゾス氏は計算で発見したようです。

そこで、インターネットを使ったビジネスを選択。

しかも書籍から始めたのは商品が腐ったりしないから、という理由があったそうです。

(目についた記事を読んだだけで、Amazonの成り立ちを網羅的に調べた訳ではありません。

もし誤りをご存知でしたら指摘してください。)

そんなAmazonがどうなったかはご存知でしょう。

今では世界で最大の企業の1つになっています。

**

このように、

・ポーカー
・研究
・コピーライティング
・ビジネス

など、様々な道がありますが、どれも一流に至るには「なんとなく」を減らしていることが見えてきます。

会社で作成した資料のフォントは根拠を持って選択しましたか?

副業で使った言葉の順序や表現を選んだ理由は説明できますか?

私もまだまだですが、昨日より今日、今日より明日、「なんとなく」を1つづつ減らしていくことで成長していきましょう。



最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。

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