From:Dr.kappa
月曜日、午後5時55分
ショッピングモール、スタバより
3月23日のメルマガでこんなことを書きました:
「巷ではReason Whyが過信されている」と。
つまり、こういうことです。
コピーライティングでは「(論理的な)理由を語りなさい」と教えられます。
この「教え」はあまりに有名なので、1度は(もしかしたら何度も)読んだことがあるでしょう。
あるいは、実際に全ての主張に理由を添えたこともあるかもしれません。
そこで1つ質問させてください。
その結果、売れましたか?
私もコピーを勉強し始めた頃、上の「教え」を学びました。
(個人的には確か、私が知る限り最初にReason Whyを提唱したJohn E. Kennedyの本で学びました。)
そして、実践もしました。
「そうか、理由を添えると行動する確率が上がるのか」とすぐに理由を添えてみたのです。
ただ、売れませんでした。
もちろん、私が下手くそだった可能性は否定できません。
ですが、色々と考えていると、Reason Whyを過信してしまうのは少しズレているのではないか?と考えるようになりました。
というのも、理由が無くとも行動する場合があるからです。
寧ろ、論理的でない方が強力な場合が少なくありません。
例えばチャリティー。
「アフリカでは毎年X人が飢餓のせいで亡くなります」
という統計を理由として使った言葉ではなく、
「X国に住むAちゃんは飢餓のせいで死にそうです」
とたった1つの事例を(物語として)見せた方が募金額が増えたのでした。
この考察から、行動に重要なのは理由ではなく、「物語」の辻褄であろうと考えるに至りました。
言い換えると、アイデアネットワークのコヒーレンス。
相手の認識の中で辻褄が合ってさえすれば良いのでした。
今回のメインメールでは、この点をもう少し考察してみます。
要するに、人はいつ行動するか?という問題です。
辻褄が合ったからと言って、必ず行動する訳ではありません。
では、人はなぜ行動するのでしょうか?
何が人を行動に駆り立てるのでしょうか?
実は、私はこの問題を、もう何年も考察しています。
コピーライティングでは、言葉を使って相手に行動してもらうことを狙うからです。
抽象的な「答え」は現代思想を通して知っていました。
ただ、実感はあまり有りませんでした。
ところが、以前少し触れた、私が衝撃を受けたセールスレターを分析した際、その「答え」が正しそうだと感じました。
また、つい先日分析が終わったレターでも、同じ「答え」が使用されており、間違いないだろうと考えるに至りました。
その「答え」を理解するには、こんなアナロジーが理解しやすいでしょうか。
少し恐ろしい例ですが、ちょっとイメージしてみて下さい。
あなたは病院で検査を受けました。
そして、医師からこう言われます。
「あなたはガンです。このままでは3年で死にますよ」と。
そうしたら、その治療法として提案された方法が何であれ、受け入れ、行動するのでは無いでしょうか?
手術が必要と言われたら手術を受け、薬物療法を勧められれば言われた通りに薬を服用するのでは無いでしょうか?
私なら医師の言う通りに行動すると思いますし、他の方々も素直に従うと思います。
では、なぜ私たちはこのような状況では行動してしまうのでしょうか?
それは死が痛いから。
死というのは痛みの中でも非常に強い部類に入ります。
死んでしまっては全てが終わるので。
(現代思想では「死によって世界が終わる」と考えられています。)
その為、私たちは痛みから逃れようと行動するのです。
この傾向は生物である以上逃れることができません。
つまり、強く痛みを感じると、人は行動してしまうということです。
この「原理」は、私がこないだ分析を終えたレターで見ることができます。
それは、世界一のセールスコピーライターと呼ばれ、今は引退しているGary Bencivengaのレターです。
(コピーに詳しい方は、このレターのヘッドコピーを見たらピンと来るでしょう。
別の有名なレターのヘッドを利用していることに。)
このレターでは、就職面接で職を得る方法を解説したレポートを販売しています。
したがって、狙うべき痛みは職を得られないこと。
レターを注意深く読んでみると、この痛みが強く喚起されていることが読み取れます。
表現を変え、視点を変え、痛みの臨場感を上げていきます。
また、Reason Whyが語られていないことにも気付くでしょう。
商品を使うことで
・なぜ職が得られるのか?
・実際に職を得た顧客の声
などは載っていません。
そうではなく、一貫して痛み(と快楽)を喚起しています。
世界一と呼ばれるコピーライターが書いた、売れたレターでReason Whyより痛みの喚起が優先されているのですから間違いありません。
Reason Whyは(主に)主張の証明の為に使われる手法ですが、そんなものが不要になる場合があるということです。
それは強く痛みを喚起できた時。
その時、人間は痛みから逃れる為に行動せざるを得なくなります。
提案されている手法が有効か否かなど、その状況では気にしていないということです。
もし、以前Reason Whyを語ってみたが売れなかったという経験をお持ちでしたら、(以前の私含め)もしかしたら痛みの喚起が弱かったのかもしれません。
今回ご紹介したレターを参考に、丁寧に痛みの臨場感を高めてあげれば、売れるようになるかもしれません。
P.S. 引退したGary Bencivengaですが、先日行われたイベントで講演をしたことをご存知ですか?
そのトークは録画されており、YouTubeで無料で見ることができます。
10の格言が紹介されており、どれも参考になりますよ。
最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。
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